2019-04-19

グルテンフリーの嘘、本当(12)パスタの話(2)

グルテンフリーの嘘、本当シリーズも最終回を迎えました。
ここまで読んでくださった方に感謝いたします。
最終回はちょっと長いですが、飽きずに読んでいただけると嬉しいです。

今回は「パスタ」の乾燥の話を書きたいと思います。
パスタは「生パスタ」以外は乾燥ものですよね。
麺類を乾燥させるという行為は、パスタだけではなく、「うどん」や「そうめん」、はたまた「米粉の麺」にも共通性があります。
しかし、今回はパスタのことに重点を置いて書いていきたいと思います。

「生パスタ」を乾燥させて保存性をよくすることは、本場イタリアでは15世紀ころから行われていたようです。
乾燥パスタはなんと!!、500年もの歴史があるんですね。
もちろん昔は「天日乾燥」が主流、というか、それしか方法がなかったと思われます。
ところが、ハイテク化された現代においては、「天日乾燥」なんて言うのんびりしたことをやっている時間はありません。
つまり、乾燥機にかけて、短時間に乾燥させる方法が主流となっています。

パスタの乾燥温度は、おおむね「低温乾燥」と「高温乾燥」に分かれます。
「低温乾燥」とは、グルテンが凝固する温度(73℃)以下で乾燥することを言い、「高温乾燥」は、それ以上の温度で乾燥させることを言います。
時間の余裕のない現代においては、「高温乾燥」が主流なのは言うまでもありません。
低温乾燥は時間がかかり、「乾燥室」を長い時間占領し、効率的ではないからです。
そして、高温乾燥のパスタは、だれが茹でても「アルデンテ」で茹でることができるんですよ。
つまり失敗が少ないんです。
低温乾燥パスタは、調理する人のカンとか経験がものを言います。
つまり、職人の世界なんですね。

どうしてかというと、高温乾燥すると、セモリナ粉に含まれるアミド質がゼラチン化(ガラス化)してパスタの外側表面が固くなってしまいます。
しかし、それがあるために、「茹で過ぎ」になりにくいのです。
だから誰が茹でても、少々ゆで時間が過ぎてしまっても「アルデンテ」なんです(笑)。
でも待てよ、ということは、「変質」しているんじゃないの??、と思いませんか。
そうなんです、高温のストレスで、デンプンとタンパク質は変質して、とても消化に悪いものになってしまっているんです。
具体的に書いていきましょう。

パスタは高温乾燥の過程ではタンパク質が「高分子量化」することが科学的に知られてきました。
それはこちらのページに記述されています。
「高分子量化」とは、つまり「低分子量」のたんぱく質が「高分子量」になるということです。
人間の消化過程において、分子をなるべく小さくしていくことを「消化」と呼びます。
分子が小さくないと、吸収できないからです。
しかし、低分子であったタンパク質が、分子を大きく(高分子量化)してしまうと、消化吸収しにくくなり、分解に時間がかかるので、体の負担は大きくなります。
つまり、パスタは高温乾燥すると、タンパク質が消化しにくく変化した状態になってしまいます。

実はタンパク質だけではなく、「デンプン」も同時に変質することが近代の研究によってわかってきました。
これは小麦だけの問題ではありません。

どういう事かというと、デンプンは「αデンプン」と「βデンプン」というものに分けられますが、生の小麦や米が持っているデンプンは「βデンプン」なんですね。
「東海コープ 商品安全センターからの知恵」にわかりやすく出ているので、引用させていただきます。(このページは残念ながら現在削除されてしまっています。)
それによると・・・・
(ここから引用)・・・元々、穀物などに含まれるでんぷんは、数多くのブドウ糖が規則正しく連なってできていて、そのままでは食べられず、食べても旨みを感じません。この状態のものをβ(ベータ)-デンプンと言います。これに水を加えて加熱すると、分子をつなぐ結合が緩んで、そこに水が入り込みます。さらに熱をかけるとβ-デンプンの集合体はどんどん緩んで、その回りを水が取り囲み、粘り気のある状態に変化します。この状態の変化をでんぷんの『糊化(こか)』と言います。この糊化したものをα(アルファ)-デンプンと呼び、糊化のことをα化とも言います。α-デンプンは、結晶構造がほどけた状態にあるため、消化が良く唾液のアミラーゼでブドウ糖に分解されるので甘く感じます。・・・(引用終わり)

そして、 消化に良く変化してくれたαデンプンも、扱いを間違えると難消化性の「老化でんぷん(βデンプン)」に変化してしまいます。
同じページを再び引用させていただこうと思います。・・・・
(ここから引用)・・・せっかくα化したでんぷんも冷蔵庫などの低温にさらされると、また元のβ-デンプンに戻ってしまいます。このβ-デンプンの状態になることをでんぷんの『老化』と呼び、β化とも言います。老化したでんぷんは、粘度が減少してパサパサになりますが、その分腐りにくくなり保存しやすくもなります。人間はβ-デンプンを消化する酵素を持っていないため、胃の中でα-デンプンに変えるのに非常に時間が掛かり、とても消化に悪いです。おいしくもありませんので、体のことを考えるとあまり食べないほうが良さそうです。・・・(引用終わり)

ところが、パスタの高温乾燥(73℃以上)の加工をすると、パスタに含まれるデンプンが、「老化でんぷん(βデンプン)」になってしまうのです。
製造条件の異なるスパゲティの機械的性質の調査」という論文によれば、
(ここから引用)・・・・一般的に澱粉は一度老化澱粉になると元の糊化澱粉に戻すことは非常に難しい。スパゲティを 茹でたとき,生スパゲティはその大半が糊化澱粉になるのに対して、老化澱粉が多く含まれた乾燥スパゲティは茹でても全てが糊化澱粉にはならない。・・・(引用終わり)

というように、論文でも結論付けられています。
そしてその「老化でんぷん(βデンプン)」が消化できないとしたら……(低温乾燥のものなら澱粉が老化しないので、そういう心配はありません)

世に出回っていいる乾燥パスタの大半は、この「高温乾燥パスタ」です。
それを主食のように食べること、そして前回も書きましたが、原材料の小麦がもしかしたら「除草剤」で枯らして収穫されたものだとしたら・・・さらに「人為的品種改良」され、自然界にないデンプンやたんぱく質になっているものだとしたら・・・・・(イタリアでは最近小麦アレルギーが増えているそうです)
安いから、失敗が少ないから・・・それだけの理由でそういうものを選びますか?。
それと、乾麺はどうしてもこの「乾燥」ということが付いて回ります。たとえグルテンフリーの麺であってもです。
天日乾燥やそれに近い乾燥方法(低温乾燥)のものを選ばないと、消化に負担がかることはもうお判りでしょう。
だから、グルテンフリーというカテゴリーではなく、別の面から良いものを選びましょう。
小麦にも「古代小麦」という品種改良されていないものも最近は注目されていますね。
オーガニックや自然栽培のそれを原材料にした、澱粉がβ化していなくて、たんぱく質がガラス化していない「低温乾燥パスタ」も日本でも手に入る時代になりました。

米粉麺やラーメンの様に、一度水を加えて練った後、火にかけて処理したものを高温乾燥(80℃以上)にかけたものはこの限りではありません。
と言うのも、一度α化された澱粉は、急速乾燥することにより、α澱粉のまま乾燥させられるからです。
お煎餅などは、一度米粉に水分を加えて練ってから、焼いたり揚げたりしているでしょ。
それはα化された澱粉をそのまま高温で乾かしていることになります。
インスタントのラーメンの麺も、生めんを作った後、油で揚げる、もしくは蒸気で蒸すなどの工程の後、乾燥させます。
そうした麺は、すでに乾燥していたとしても、α澱粉になっているまま乾燥しているので、消化の問題がありません。
そして、素麺やうどんなどは、熱を加えた後乾燥させるのではなく、パスタの様に直接乾かすのですが、天日干しが多いですよね。
ただし、一度α化させるという工程を経ない素麺やうどん等の乾麺は、高温乾燥にすると、上記のような弊害があるので、注意が必要です。

以上でこの「グルテンフリーの嘘、本当」シリーズを終わりたいと思います。
グルテンが悪者ではないということがお分かりになっていただけたでしょうか?。
しかし、日本人は古くからご飯を主食にしてきた民族です。
小麦はあくまでも、ちょっとした副食だったんですね。
ですから、小麦をいくら良いものを選んだからと言っても、ご飯を食べずに毎日食べる主食にするのはやめた方が良いと思います。

画像はクリックすると拡大します

グルテンフリーの嘘、本当(12)パスタの話(2)ボリビアの世界遺産の街「スークレ」近郊の「タラブコ」の日曜市で売られていた、いろいろな種類の乾燥パスタ。
果たしてこれは「低温乾燥」なのか、「高温乾燥」なのか??。
料理することが出来ない旅人の私は調理できないので、わかりませんでしたが(笑)。

グルテンフリーの嘘、本当(12)パスタの話(2)こちらはペルー式の驚きのチャーハン。
ごはんと細麺が入っています。
名前はなぜか、「Chaufa Aeropuerto」(空港のチャーハン)と呼びます(笑)。

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